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すげーアホいんで、心の広い方だけどうぞ→→→
「この形って、ちょっとやらしいよな」
くるくるとポッキーを回しながら訊かれた言葉に、僕は一瞬何を言っているのか分からなかった。
今日は11月11日。
数年前から、これもバレンタインのようにお菓子会社の陰謀だろうとしか思えないような記念日ができた。棒が四つで、「ポッキー&プリッツの日」。
少し大きな駅前ならアソートのポッキーが配られ、CMでは二週間前くらいから大々的に宣伝してくる。
豊橋が「ポッキーガールがガッキーじゃない!」なんて騒いでいたが、最近ではそれも言わなくなった。元々ガッキーこと新垣結衣がそこまで好きでもなかったのか、それとも今のポッキーガールが気に入ったのか。案外どちらでもなく、ただ騒いでみたかっただけなのかもしれない。豊橋は、どちらかというとアイドルよりゲームや漫画のほうが好きみたいだから。
それはともかくとして、今日はいつものように僕の家で過ごすことになったんだけど、突然豊橋が思い至ってポッキーパーティをすることになった。近所のスーパーまで行き、ポッキーを全種類買って食べようよ、という企画だ。ちなみに、豊橋は歯に挟まるからという理由でプリッツが好きではないらしく、今回はポッキーのみの参加だ。
行ってみたら意外や意外、ポッキーにもたくさんの種類があった。
これは流石に全部食べたら財布も歯にも大打撃だろうということで、お互い好きなやつを二つずつ選ぶという形で落ち着いた。僕がメンズポッキーとコーヒー味のやつで、豊橋はイチゴと極細だ。
普通のやつのあとに極細を食べると、結構本気で驚いてしまう。それに加えて僕はそれを初めて食べたのでひとしおだ。そう言うと、ありえないと笑われてしまった。
そんなことを言われても、うちはそんなに頻繁にお菓子を食べる家庭ではなく、僕もそれを当然と思っているところがあった。だから豊橋といるとかなり新鮮な気分になるのだけれど、まあそれは言わなくてもいいことかと思う。それぞれの家の違いを上げ連ねたところで、意味なんてないからね。
とにかくそんな感じで二人でポキポキやっていて、僕がポッキーゲームをしたいんだと言い出せずにいたとき、豊橋が突然そんなことを言ってきた。飽きてきたのか、一本一本チョコを舐めながら食べている。
「ほら、先のところってちょっとダマになってるだろ? ものによっては、その形があれに見えるのもあるよなって」
「え?」
よく分からない。首を傾げていると、豊橋がなんだかやらしい顔で笑った。
「だから、あれだよあれ。ち、ん、こ」
何を言っているか理解が遅れ、漸く脳が働き出したときには僕の顔は多分真っ赤に染まっていただろう。だって、馬鹿みたいに熱くなっていたから。
「な・・・! 豊橋、何言っ・・・!」
「まーたそんな反応して。お前ってエロいくせになんでこういうのは駄目なのさ」
「そ、それは・・・」
エロいのは豊橋のほうだと、僕はいつも思っている。
誘い方は一介の高校生には見えないし、盛り上がっているときの動きなんか見ていていつも鼻血を噴きそうになる。何度言っても認めないから、最終的にはいつも僕が折れることになるんだけど。
でも今回ばっかりは、豊橋の方がエロいと認めてもらわざるを得ない。だって僕は、ポッキーを見てそんなことを考えたことは一度だって・・・
「あ、今想像したろ。もうそれにしか見えないだろ」
にやにやと言われて、僕は顔を背けた。んん? と寄って来る豊橋の頭を、手の平で抑える。
「金森ってばかわいーの。ほら、見て見て」
可愛いのは君だ。そう言ってやろうとした僕の前で、豊橋がポッキーを下から舐め上げた。
「フェラチオー」
けらけらと笑いながら、豊橋は先端のくびれている部分を意識してねぶった。それを見て、僕の中で何かが弾け飛ぶ。
「なーんてな。食べ物で遊んじゃ、罰が当た・・・って、金森?」
僕の影に入った豊橋の顔が、笑顔のまま固まった。
もう知らないからね。悪いのは、豊橋なんだから。
チョコレートの剥げたポッキーを奪い取り、唾液で濡れた部分からぽりぽりと噛み砕いた。残り僅かになったところで豊橋の唇に食ませ、少し出たところを僕が食べる。砕けたクッキーの混ざったキスに、豊橋の背中が震えた。
「っちょ、金森・・・」
「フェラチオ、だっけ? そういえば豊橋が僕にしてくれたことはなかったよね。ごめんね、気付かなくて」
「え? え?」
「したかったんでしょ? ポッキーの先が、それに見えちゃうくらい」
「え? ええぇ?!」
押し倒してその胸に乗り、ジッパーを下ろした。豊橋の目が見開かれ、曖昧な笑みを浮かべた口がぱくぱくと動く。
「あ、ほら。やってあげてもいいけど、なんていうの? まだ、心の準備が、さ?」
「大丈夫大丈夫。今見ていた限り、舐めるのは上手そうだから」
「で、でも・・・んむ!」
まだ何か言いたげな唇に、ポッキーを一つ差し込んだ。自然キスのときのような形になる唇を見て、思わず口角が上がってしまう。
「それに、ちゃんと教えてあげるから・・・ね?」
腰を曲げて、僕はゆっくりとそのポッキーに齧り付いた。
翌日。
僕は頬に痣を作って登校することになった。鞄一杯に、昨日変えなかったポッキーをつめこんで。
ちなみに、念願だったフェラチオもしてもらってない。